チョコレート博覧会

修論発表が終わってから数日たって、連休の最終日に母と大阪までアフタヌーンティーをしに行った。

直前に予約を取ったこともあってアフタヌーンティーは11時から、大阪に着くのは9時過ぎ、周辺のお店が開くのは10時と、大阪についてから微妙な空き時間ができてしまった。

駅周辺を散策しようにも当日の天気は雪混じりの雨。

仕方がないので大阪駅構内をぶらぶらすることにした。

阪急の方へあの有名な通りやん!とかいいながら向かうとやたらと人が多いことに気づく。まだ10時前なのに。

横断歩道を渡ると阪急百貨店の前に人集りができているのが見えた。

何に並んでいるのか確認するためによってみると、謎のカタカナと購入希望の方は右手の列へ!みたいな文句が書いてある。もうそのカタカナの羅列すら覚えていない。

Google先生に聞くとチョコレートの有名店の名前だということがわかった。

さらに阪急百貨店でチョコレート博覧会が開催されるということも明らかになった。

この人々はチョコレートのために開店前からこんなに並んでいたのである。

母はこういうときミーハーなので「並ぼ!」と言ってきかなかった。

11時にはアフタヌーンティーが待っているのであるが。

 

とはいえ、自分もチョコレートは大好きであるので、暇だし並ぶことにした。

10時になると同時に大勢の人が阪急百貨店に入っていく。

店員さんたちの大きな案内の声をききながら、見慣れぬ地の人込み、きらきらした立派な店内に少しわくわくしながらエスカレーターを登る。

 

チョコレート博覧会はすごかった。

金沢でこんなもの見たことがないなと思った。

先ほども言ったが自分はチョコレートが好きだし、お菓子にも造詣が深いと思っていた。

思っていたのだが。

 

阪急百貨店の9階にあるチョコレートをすべて溶かして1枚の板チョコにしたら、畳何枚分くらいになるとか、そういうわかりやすい量があったらいいのだが、とにかく大量のチョコレートがあったと思う。

あるところではチョコレートがなんだか小さな宝石のようになっていて、それが様々な形で各ブースにちょこんと並んでいて、あるところでは微妙に色彩の異なるチョコレートの板が並んでおり、何かの色見本を見まがうほどであった。

わからないな~~~ととにかく思った。自分はチョコレートについて何も知らないとまで思った。

とりあえず全体を一周した(あとでわかったが実際はフロアの半分しか見てなかった)。

小さいチョコレートはお店ごとにデザインが違っているし、味も違うのだと思うが、見ている側からすると何が違うのか全くわからなかった。こんなもの、ジャケ買いするしかないやんと思った。しかも、一つ一つがやたら高い。天下の明治ザ・チョコレートすらご褒美と思って買う庶民には全く理解の追い付かない値段である。そのザ・チョコレートですら、名前は忘れたが高級なチョコレートをいつもの小袋3つで1500円くらいで売っていたのである。意味が分からない。

バレンタイン直前ということもあり、贈答用に高級なものが用意されているのはわかる、が、その値段に根拠のわからない恐ろしさを覚え、目の前にあるのがチョコレートに見えなくなっていたのは事実である。

 

生々しい話をしてしまったが、板で売っている系のチョコレートブースは大変興味深かった。世界各地の産地のチョコレートがその配合割合も様々に並んでいる様子は、無知からするとみているだけで面白い。味もわかるとなお楽しいのだろうな、と、まだ見ぬチョコレート界に思いをはせた。ちょっと勉強してみたくなった。

 

結局アフタヌーンティーが控えていることを考えると全く物欲が出ず、家族のバレンタイン用のチョコレートだけを買って帰った。

今日垣間見たチョコレートの世界は、今まで出会おうともしなかった偶然の場所であり、たぶん潜っても潜っても底が見えないんだろうなあと思った。

チョコレート好きだな、とか思ってた自分を少しだけ恥じ、博覧会にいたすべてのチョコ好きに尊敬の念を覚え会場をあとにした。

 

アフタヌーンティーにチョコレートは出なかった。